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A-PLAT Proは国立環境研究所気候変動適応センターが開発・運用しているサイトの1つです。気候変動の影響評価・適応策検討に有用な数値データを収集・配布するために2021年4月に公開されました。数値データは研究ベースで作られたものがほとんどであるため、このサイトは背景知識を持った研究者や技術者を主な対象としています。これがProと名付けられている理由です。

気候変動の予測と数値データ

気候変動の予測は2段階で行われます。まず、気候変動の原因である温室効果ガスが将来どのように排出されうるかという「排出シナリオ」を想定します。次に、排出シナリオに従って排出された温室効果ガスにより、気候がどのように変化していくのかという「気候シナリオ」をコンピュータ・シミュレーションにより推定します。

気候条件の違いによって対象にどのような反応や変化が起きるかを予測するための各種ツールのことを影響モデルと言います。この影響モデルに「気候シナリオ」を入力することによって、気候シナリオに示された気候の変化に伴い、社会の諸分野にどのような影響が及ぶのかという「気候変動の影響予測結果」を得ることができます。


この「気候変動の影響予測」においては、2つの重要な数値データがあります。1つは、影響モデルの入力(境界条件)となる「気候シナリオ」です。気候シナリオは、世界あるいは日本全域を対象とした、等間隔の格子に区切られた時系列の数値データで、気温や降水量など、複数の気象の要素から構成されています。もう1つは、気候シナリオに基づき、影響モデルが出力した「影響予測結果」です。


A-PLAT Proが提供しているのは「気候シナリオ」となる数値データです。気候シナリオは排出シナリオに基づくもので、将来の気候を正確に予測するものではありませんが、共通の気候シナリオを多くの影響モデルで使うことにより、多分野にわたる世界や日本の気候変動影響の全体像を予測することができます。気候シナリオの共通化と一元的な配布は、気候変動影響の予測において重要な課題となっており、A-PLAT Proはその一翼を担っています。

A-PLAT Proの機能

A-PLAT Proは無償で公開されていますが、異常、または無効なアクセスから計算機資源を保護するという目的から、利用者にはユーザ登録とログインを求めています。利用希望者は「Login」ページからアカウントを請求できます。利用にあたっては、各データの利用規約を順守してください。


A-PLAT Proでは、提供している数値データにアクセスするために、「データダウンローダ」、「時系列ビュワー」、「地図ビュワー」、「解析ツール」の4つのウェブインターフェースを提供しています。ユーザはインターフェースを通じて、必要な気候シナリオの気象要素(気温・降水量等)、データ期間、空間領域、空間解像度などを選択することができ、選択した内容にそった数値データをNetCDF形式でダウンロードしたり(データダウンローダ)、特定の気象要素に対する選択エリアでの空間分布図(地図ビュワー)や選択地点における時系列グラフ(時系列ビュワー)を描画したり、特定の行政区域における気象要素の平均・総和・最大値・最小値の時系列データや指定した時点において行政区域毎に集計された平均・総和・最大値・最小値をリストで取得(解析ツール)することができます。